「全附P連PTA研修会第8回全国大会」参加報告

『全国国立大学附属学校PTA連合会』 PTA研修会 第8回全国大会

 開催地:ハイアットリージェンシー東京

 開催日:平成29年9月29日(金)~9月30日(土)

 参加者:校長、副校長、執行部8名

開催スローガン:子どもたちとこの国の未来のために〜附属学校の果たすべき役割とは〜

1日目

基調講演1「いじめ問題にいかに対応すべきか」

基調講演2「いじめに対する文部科学省の思い」

分科会1.養護教諭・保健室からみた子どもたちの健康課題・健康格差

分科会2.スマートフォン普及をふまえた新しいネットいじめ対策

分科会3.きらめく個性は宝物子どもが輝くインクルーシブ教育〜わが子を理解し最良のサポーターであるために〜

特別支援部会  特別支援学校・学級ならではの課題を共有し、解決の糸口を探す〜子どもたちの健全な育成のために、生活習慣(睡眠・食事・運動等)

の工夫、就労支援、PTA活動等について、参加者全員で考える〜

教育後援会会長会 教育後援会が抱える課題と、設立予定の全国組織に期待される活動とは

情報交換会

全附連 集合写真

2日目

講演 演題 人を育てる〜愛があるなら叱りなさい〜  一般社団法人  井村シンクロクラブ 代表理事 井村 雅代 氏

講演 演題 生活習慣と成績の関係〜食べることや寝ることの大切さ〜  京都大学 霊長類研究所 神経科学研究部門 高次脳機能分野教授 中村 克樹 氏

座談会 演題 子どもたちとこの国の未来のために〜保護者として、国立学校として〜

全附連 講演会のようす

全附P連PTA研修会に全国の国立附属学校から先生方、保護者の皆さん860名が、東京・新宿に集まりました。人数にも圧倒される研修会でしたが、全国各地から集まってこられた先生方、保護者の方々と子供たちの教育のこと、昨今のPTA活動の在り方などの意見交換をする機会に恵まれ、大変有意義な研修会でした。
シンポジウムのパネリストには文部科学省や財務省からそれぞれの分野の専門家があたり、国立附属学校が置かれている現状、国の未来への意識を高める財政教育の意義、5月に改正された個人情報保護法について注意すべき遵守点、貧困対策について、話を伺うことができました。
ご自身の長年の教職の経験から語られた鳴門教育大学院の阪根先生の講演では「いじめについて」の明確な定義を知ることができ、その解決方法のひとつとしてスキーマ(思考・記憶)を広げることの大切さを話してくださったことがとても印象に残りました。
分科会では全国各地の先生方や保護者の皆さんとケース・メソッドを体験し、情報交換会では北海道、秋田、京都、三重から来られた方々と各地の教育状況について語り合うことが出来ました。
二日目のシンクロ、オリンピック代表コーチ井村先生の講演は圧巻でした。オリンピックの頂点に立たせるために先生に託された選手たちを、本当にメダリストにするまでのコーチング、裏方として考えつくされた準備、ハイテンポで内容豊富な講演の中には子育てのヒントがたくさん詰まっていました。
京都霊長類研究所の中村先生の講演は、霊長類研究から見えてくる人間の基本的な生活習慣の意味を、たくさんのデータに基づいてお話しくださり、食、睡眠においてきちんと生活することの重要性を再認識して帰ってまいりました。
このような貴重な機会をいただいたことに感謝しております。全附P連PTA研修会はPTA会員の皆さまも参加することが出来ます。興味のある方はぜひ執行部にお問い合わせください。

付録:<井村先生語録>
「胸を張って歩きなさい」どんなに疲れていても「頑張るぞ」。試合の前から試合は始まっている。強そうな顔して試合に出ていなければ勝つこともできない。

大きな目標を持つことは大事。その大きな目標のために、今日1日どう過ごすのか。

コーチをして43年。コーチという仕事は「つけさせた体力、技術精神力を発揮させるという仕事」心のスイッチを入れ、発揮させてやる。それが大きな仕事。

燃えない若者に対して。なぜ「燃えない」のか。彼らは徹底的に追い込まれた練習を知ったことがない。負けて悔しくて号泣する、泣き疲れたら朝だったという悔しい思いをしたことがない。失敗で帰ってきて、情けなくて、帰ってきて、叱られてない。周りの大人たちは「精一杯やったからいいじゃないの。」→失敗には原因があるのに、なぜ失敗したのか、原因追求することが大事なのに、失敗して何も得るものがない経験を重ねてきた。

嬉しくって、嬉しくってこんな嬉しいことがあるんだ、ということも彼女たちにはなかった。その結果、彼女たちは達成感を味わったことがない。だから、私は達成感を味わったことのない彼女たちに達成感を味合わせてやろう。メダルを取らしてやろう、と決めた。

今の若者に必要なこと、成功体験です。日々の成功体験の積み重ね。弱い選手を強くする方法はたった一つ。練習で強くさせる他のやり方を私は知らない。

練習中、一番使った言葉は「無理をしなさい。力を出しなさい。」

プールサイドのホワイトボードに
「練習は嘘をつかない。」「練習は試合のように、試合は練習のように」「自分の可能性を信じなさい。と書いていた。

「もう限界です。」という選手の言葉に対して⇦「限界なんてどこにあんねん、指差してみろ!」私のかける言葉です。

身、技、態、は揃うはずがない⇦今日の自分に何が足らないのだろう、と考えることが大事。揃えるのではなく、足らないものを何で補うかを考えることが大事。1mmの努力。どんな目標を設定するか、今日、この日の設定が大事。40cm飛べた子に、明日は40cmと1mm飛べるようにして、辛い日が来るけど、飛べないわけがない!と突破する。「それだったらできる」大きな目標と、小さな1mmの目標が大事。両方が大事。同じだけの価値がある。

私は叱ってるんじゃない、本当のことを言っているだけ。ダメなものはダメ、と言っている。本当だから。そして、かならず、直す方法を教えている。その方法がダメなら、次の方法を、示す。できたら、それをやり続けなさい、という。

接する子供たちの年齢が小さければ小さいほど、驚いてあげてください!その様子を見た子供達はまた驚かそうと思い、そして驚くことをしてくれる。

叱るコツ=叱るときは現行犯で叱ってください。(古いことを持ち出すな。今のことについての反省感が減る。)黙ってる子でもわかってる。

「片付けなさい」といっても片付けられない子供たち→子供達は片付けてます。彼らはどういう状態が片付いているか、その形を知らなかった。だから片付かない。片付いている形を見せることが大事だった。型を教えたら、片付けることができるようになった。片付いている形を見せてあげてください。

この子はサボろうとしているんじゃない、この子はちゃんとやろうとしている。やろうとして、これなんだ。形を教えることの大事さ。普通のレベルを上げることが大事。
この学校の整理整頓、と、この学校の整理整頓、レベルの違いは普通のレベルの違い。この「普通」というレベルを、レベルの高い集団にしようとしている。

人は最後には何で支えられるか、ものではなく、人の心で支えられる。
オリンピックを通してわかったこと。

うまくいかなかったとき、失望したり、やけになったりしてはダメ。次の日も正しいことをやり続けなさい。どんなに人に認められなくても、正しいと思われることを続けなさい。
一流のものを作りたい。一流は流行をおわない。「三流は道に流される。二流は道を選ぶ。一流は、道を創る。」

子供のうちは選ぶ力をつけてあげてください。(子供のうちは、二流でいいです。)

開催国のオリンピックを北京で体験している。開催国には実に心地よい風が吹く。皆で一つのことを成功させようと、できることをする。今日お集りの皆さん方の子供達をオリンピックに参加させてください。

◎先生の指導を支える考え方は端的に語ると何ですか?
自信のない子が、なにかできるようになったり、その変化を見る毎日が私を支えている。
より良い人間を作ること、より良い人間、より良い社会人を作ること。教材がシンクロだっただけのこと。
私の教えたことの答えは、シンクロやめた何十年後に出る、知る。「良き人間を作る」ただそれだけです。

投稿 PTA庶務 多田由理